ロベルト・ボッレのバレエな日々

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zoom RSS Manon at Tokyo Bunkakaikan

<<   作成日時 : 2014/03/04 09:34   >>

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楽しい事はすぐ終わってしまいますね。ABT日本公演。びわ湖ホールに続き東京文化会館で踊った「マノン」、デ・グリュー役はロベルトがもっとも得意としている役柄の一つです。今回のロベルトの日本での最後の演目だった「マノン」。終演後の観客はスタンディング・オベーションで長い長い拍手をジュリーとロベルトに送り続けました…



ロベルトの来日公演を四公演観る事が出来て思ったのは、超一流のダンサーは舞台に立つと必ず何かを私たちに与えてくれるのだなぁ、ということです。二年ぶりくらい(間にイタリアでガラ公演が一回ありましたが)にロベルトの舞台を観ましたが、年齢からいったら体力は衰えてもおかしくないのにそれは殆ど感じさせず、技術と芸術性ゆえに、かえって舞台の見応えが増しているように思いました。





014年2月27日(木) 6:30p.m
≪マノン≫全3幕
上野:東京文化会館

振付・監督:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
編曲:マーティン・イエーツ
舞台指導:ジュリー・リンコン、内海百合
舞台装置・衣装デザイン:ピーター・ファーマー
照明:クリスティーナ・ジャンネッリ
指揮:オームズビー・ウィルキンズ
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

<出演>
マノン:ジュリー・ケント
デ・グリュー(神学生):ロベルト・ボッレ
レスコー(マノンの兄):エルマン・コルネホ
レスコーの情婦:ステラ・アブレラ
ムッシューG・M:ロマン・ズービン
流刑地の看守:アレクサンドル・ハムーディ
マダム:アレクサンドラ・バスメイジー
物乞いの頭:クレイグ・サルステイン
高級情婦:マリアン・バトラー,ニコール・グラニエロ,ルシアーナ・パリス,デヴォン・トゥシャー,ジェニファー・ウェイレン
女優:ブリタニー・デグロフト,エイプリル・ジャンジェルーソ,ローレン・ポスト,ステファニー・ウィリアムズ
紳士:ジョセフ・ゴラック,ブレイン・ホーヴェン,エリック・タム
客:ケネス・イースター,トーマス・フォースター,パトリック・オーグル,ホセ・セバスチャン,ゲイブ・ストーン・シェイヤー
情婦:相原舞、ケリー・ボイド,スカイラー・ブラント,ニコラ・カリー,ツォンジン・ファン,イサドラ・ロヨラ,エリーナ・ミエッティネン,小川華歩,ジェシカ・サーンド,カレン・アップホフ,ルシアーナ・ヴォルトリーニ,キャサリン・ウィリアムズ
物乞い:グレイ・デイヴィス,ルイス・リバゴルダ,カルヴァン・ロイヤル,アロン・スコット,ショーン・スチュワート,ツィアオ・チャン
老紳士:アレクセイ・アグーディン
宿屋の主人:ケリー・ボイド
女中:イサドラ・ロヨラ
町の女性:プアナニ・ブラウン,ブリタニー・デグロフト,エイプリル・ジャンジェルーソ,ローレン・ポスト,ステファニー・ウィリアムズ
駐屯兵:グレイ・デイヴィス,ケネス・イースター,トーマス・フォースター,パトリック・オーグル,ルイス・リバゴルダ,カルヴァン・ロイヤル,ホセ・セバスチャン,ゲイブ・ストーン・シェイヤー

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【上演時間】約2時間30分 【終演予定】9:10p.m. 9:10p.m.
第1幕 40分 − 休憩 20分 − 第2幕 45分 − 休憩 20分 − 第3幕25分





今回、「マノン」東京公演の当日、主催者さんがクラス・レッスンを会員の方に(抽選で?)公開していたそうですが、そこでロベルトがサングラスをかけてレッスンをしていたというのを誰かのツイートで読んだんです。その後で公演を見たら目の下(特に左目)がちょっと腫れたみたいになっていたんです。そういえばびわ湖でも少しそうだったかも…江戸時代の昔から眼病み女はセクシーだと言ったそうですが、確かに男でも何となく色っぽかったです(←コラッ)。
踊りだけ見ていたら私は絶対気がつかなかったと思いますし、彼としては別に何でも無かったのかも知れないし、もしかすると踊りにくい部分があったのかも知れません。こういう詮索をされるのはご本人は一番イヤだと思いますが(そうと解っているなら詮索しなきゃいいのに…)、でも、舞台に立ち続けるということはどんなコンディションの時にでも、ベストを尽くす大変な仕事なんだなぁ、とあらためて思ったんで一応ここに書いておきます。




ABTの「マノン」。バレエに詳しいお友達に伺った所、ABTが「マノン」を取り上げるのは2007年以来で、今年のこれはニュー・プロダクションなんだそうです。これからNYでのお披露目になるそうです。2007年は初演以来だったニコラス・ジョージアディスの美術・衣裳だったのですが、今回はピーター・ファーマー。ジョージアディスが赤、黒、茶、クリーム色などを使った重厚でちょっと表現主義的だったのと比べて、ファーマーはパステル調の色彩を基本にし、美術もロココ調のものでした。ロベルトの衣裳に関してはびわ湖公演で書いた通り、第一幕のジャケットが空色がかった青で、下は白い開いた襟なんです。マノンの青い衣裳に呼応しているんですね。ジョージアディスの衣裳が素敵すぎたので、最初はちょっと違和感ありましたが、見慣れるとこれはこれで美しいです。マノンに関しては、マダムの館に登場する時のマントが以前は赤に黒い羽根がついているようなちょっと個性的な物だったのが、紫系のサテンのロングコートになっていて、こちらの方が一目でマノンの美しさが際立つと思います。




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初々しさを残したジュリーのマノン。



指揮はびわ湖が音楽監督のオームズビー・ウィルキンスさんでしたが、東京は首席指揮者のチャールズ・バーカーさんでした。どちらも良かったですが、バーカーさんの方がドラマチックだったかな?オケは東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団です。


それにしても「マノン」は素晴らしいバレエだと思います。音楽、ストーリー、そして振付けが完全に一体となって、バレエもオペラと同じ総合芸術であることを感じさせてくれます。「マノン」の音楽はマスネーですが、マスネーの書いたオペラ「マノン」以外の劇作品から音楽を組み立てているそうで、オペラの方も美しいけれど、「マノン」としては私としてはバレエの方に軍配があがるのでは?と思うくらい素晴らしい音楽です。特に素晴らしいのは、音楽が振付けと一体化しているからで、その調和があってこそ聴きごたえがあると思うんです。

今回、びわ湖ホールさんのHPにジュリー・ケントのインタビューが掲載されていて(こちら)(と、こちら)、とても読み応えがありました。特にその中でジュリーが、「マクミランの作品は、物語の進行を忠実に表すようにできています。テクニック的に非常に高度な場合でも、です。踊る立場としては大きな喜びを感じます。彼は、ダンサーが充実感をもって踊れるようにと、考えた上で振付けているのです。どの人物も性格がきっちりと振付けに表れています。」と言っているのが興味深かったです。舞台の美しさ、音楽の素晴らしさが、天才的な振付けと一体となったバレエを、ABTのダンサー達は脇役や群舞も含めて充実した演技と踊りで魅せてくれたと思います。



ジュリーのマノン。ジュリーはフェミニンで匂い立つ五月の薔薇のような美しいマノンでした。彼女のマノンは、単純に冷たいとか計算高い、というのとはちょっと違うのですが、あまりストレートに情熱的なマノンではないんです。デ・グリューへの愛もあるけれど、自分が中心というか、何よりまず自分の生き方が大事、というか。第一幕でデ・グリューと逃げたのも、彼に恋をしたからよりは自由になりたかったからかも知れない。ムッシューG・Mについて行ってしまうのも自分自身の選択で、デ・グリューへの愛惜もさほど表しません。そして第二幕のマダムの館から逃げて来てデ・グリューの部屋に戻ってからの諍いも、単純に贅沢な生活に惹かれる我が儘な娘ではなく、自分の考えを通そうとする意志の強さを感じさせました。ブレスレットをもぎ取られた後も、床に倒れずに立ったままで(という記憶なんですが間違っているかな?)、後悔したデ・グリューに抱きしめられてもマノンの方はあまり感情的にならないんです。マダムの館でのマノンのソロは見事で、その後の男達に囲まれた踊りの妖艶さも忘れられませんし(ジュリーのスカートの後ろがちょっと開いてしまってびっくりしました。でも踊りは素晴らしかった…)、終幕の看守に無理強いされるところの儚い抵抗、そして死ぬ時の美しさ。ジュリーは本当に真摯にこの役に取り組み、彼女らしい解釈のマノンを踊ったと思います。私はやっぱりフェリのイノセントなマノンが好きだけれど、ジュリーのマノンの方が原作のマノンに近いような印象を受けます(ロベルトとダーシー・バッセルの「マノン」が観られなくて本当に残念でした…)。マクミラン特有の様々なポーズ、動きも見事でした。彼女のように表現力の優れたバレエ役者と踊るロベルトを観られて幸せだったと思います。








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マダムの館でのパーティーの場面。ブロンズ色のドレスで踊るとスカートの内側が赤くて美しかった…




対するロベルトのデ・グリュー。今回、以前のロベルトと違うな〜と思ったのは、彼の表現がずいぶんソフトになっていたこと。ガラで観た「椿姫」でもやっぱりそう思ったのですが、以前のロベルトのデ・グリューやアルマンって、とにかく激しかったんです。それが大好きな点でもあったのですが、今回のロベルトを見ていて、例えば第二幕の、マノンに振り向いてもらえない苦悩の踊りや(踊り終わった後に床に座ってマノンを見つめる所も)、その次の寝室の場のブレスレットを引きちぎるシーンでさえ、感情の爆発よりは悲しみの表現、という感じでした。最初はちょっと物足りなかったのですが、彼の、これは昔からずっと変わらない詩情あふれる踊りを見ていると、ロベルトの表現がより深みを増した、ということなのかな?と思えて来ました。ああ、本当に、相変わらず素晴らしいのが彼の踊りです。ジャンプの着地は音もせず、あの天と地(と場合によっては水平線方向の三方向)に彼の体が延ばされる時の形やパの美しさ。そして完璧なサポート。ジュリーとのパ・ド・ドゥは初日と比べても安定感を増していました。ソロもパ・ド・ドゥも素晴らしく、心のこもった踊りだったと思います。そして沼地のパ・ド・ドゥ。ロベルトの最後の慟哭は魂の叫びなんです。不思議な感動に満ちた公演でした…



レスコーのコルネホと情婦のアブレアさんも良かったです。演技面の印象はびわ湖公演とあまり変わらず、まずコルネホとジュリーの関係が兄妹に見えないし、コルネホ君は何より悪い事を企んでいるヤクザな男に見えないんです。その関連か、情婦役のアブレラさんにもあまり物語を感じなかったです。でも、踊りは二人とも切れがあって良かったです(特にコルネホ君は調子が良かったみたいでした)。




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第三幕。ニューオリンズの港。



「マノン」の東京公演は全部で四回ありましたし、東京はバレエやその他の舞台公演も多いせいでしょうか、今回、文化会館には結構空席がありました。でも、このキャストのこの演目を観に来ているお客さんは本当にバレエが好きな方達だったのだと思います。舞台の幕が閉じ、また開いて二人が抱き合って立っているのを見ると客席は熱い拍手に包まれ、そしてそれが緞帳前のカーテンコールになるとスタンディング・オベーションに変わっていきました。嬉しかったです。二人の表情も本当に幸せそうでした。







さてさて、今回、ロベルトの来日公演で楽しかったのが彼が毎日あれこれ投稿してくれるツイッターでした。次の僕のキャラクター、とかいう題名で「二つの顔をもつ男《坂本龍馬》」とかいうお蕎麦屋さん()の宣伝のSAMURAIポスターをツイートしたり、「ホテルのヘルス・クラブはタトゥーが駄目なんだって〜」というツイートではホテルの名前がバレバレだったり、スターにあるまじきツイートの数々が楽しゅうございました。そして、私たち(といってもやってくれているのはBさんなんだけれど…)ファン・クラブが贈ったお花を写真つきでお礼ツイートしてくれたり、イタリア人ファンのGさんが贈るカードを毎公演ツイートしたり…ロベルト、あんた本当に優しい子や…


そのロベルトが、「マノン」公演の後にツイートした内容が「Such a wonderful performance! Such an amazing audience! I Japan. I japanese people. Thank you so much!」でした









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"La danza è l'eterno risorgere del Sole"
Isadora Duncan

"ダンスは永遠に昇り続ける太陽である”
イザドラ・ダンカン



ということで、最後にサイン会後のデマチお写真でお別れしたいと思います。サイン会、どんなにお疲れでしょうに、サングラスをかけたロベルトが優しく一人一人にサインをしてくれました。生ロベルトを見るといつも《ボッレ効果》にやられてしまい、私からは例によって何も意味のある事は言えませんでした。こう言いたかったんですけれど…








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Roberto....I love you.....We all love you so much!!!













追記:バレエに詳しいお友達Nさんから美麗写真が届きました!私のiphoneとは違ってちゃんとした大きい写真です。どうもありがとうございました〜〜。拡大すると凄いですよ〜ん。むふふふ





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コメント(6件)

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amicaさん

ホント、夢のような1週間でしたね。公演終わって、ボーっとしてます。

今回の公演を見て「マノン」を改めて好きになりました。

マノンとデグリューの出会いのシーン、好きです。私は一目惚れって運命の恋だと思うんです。

私もフェリとロベルトの「マノン」と「椿姫」を見たのですが、あの頃のロベルトは少しやんちゃな感じがしました。今の演技はコントロールしているように見えました。でも、どちらも好きです。

そして、演目や演技を見て、自分の人生や価値観をいろいろと考えさせられてしまいました。でも、いい意味でインスピレーションを与えてもらいました。

ロベルトのカーテンコールの笑顔は太陽のようで、しおれた私を元気にしてくれました。強くて、大きくて、そして、美しいエネルギーですね。

amicaさんもお疲れ様でした。

amicaさんの記事も好きです。ロベルトの良さが伝わってきます。こちらのブログをロベルトに見せてあげたい。

そして、眼の事、よく気が付かれましたね。そう言われてみれば、サングラスの写真が多い。早く治ればいいですね。

今回、ロベルトの演技を見ることができて、本当に良かったです。また見に行きたいです。


delicious pie
2014/03/04 21:44
おのぼりして観に行った甲斐のある素晴らしい舞台でした。
3幕の慟哭、死んじゃったマノンをなんとしても起こそうとする沼地のシーンはハンカチを握りしめて涙しておりました。
カーテンコールが象徴してましたよね(≧▽≦)

今回、後ろの美術が遠近法使って3Dっぽくつくってあって綺麗だなあと思ってたんですが新しいものだったんですね(*゚▽゚)ノ

サイン会してくれて舞い上がりすぎて
なにも言えなかった私(>_< )
いつになったら、ちゃんと話しかけることができるのやら

またロベルトに会える日がくるのか
来日してくれるのかわかりませんが
本当に感謝な1日でした。
amicaさん、ほんとに色々ありがとうございました。
Yukari
2014/03/04 22:19
delicious pieさん

なんてご親切なコメントを、どうもありがとうございます。「やんちゃ」って本当にそうですね。あの頃のロベルトは若かったんだな〜。でも、その後、円熟期を迎えた彼の今の踊りも本当に素晴らしかったですね。

またロベルトの踊りを日本で観られますように
amica
2014/03/05 05:59
Yukariさぁ〜〜〜ん

こちらこそ大変お世話になりました。今回、お会い出来て本当に楽しかったです。アフター・バレエのおしゃべりも沢山出来ましたね。Yukariさんの舞台への観察眼もさすがだと思いました。

また次の祭りを一緒に過ごせるように、その日までお互い頑張りましょう〜〜〜
amica
2014/03/05 06:03
amicaさん、

追記に素敵な写真を載せていただき、ありがとうございます。

2人とも普段から美しい。

私もサイン会、行きたかった。(涙)

また、観にいけるよう、頑張って時間とお金を作ります。(^_^;)








delicious pie
2014/03/08 20:10
delicious pieさん

コメントありがとうございます。この頂いた写真、拡大すると美しいですよね〜。サイン会は、公演ですべてを出し切ったアーティストは疲れているのに悪いな〜、と思う反面、この感動を伝えたいという気持ちに場所を与えて頂いてありがたいです。でも、それが無くても彼らには熱い拍手で私たちの気持ちは伝わっていると思いますが…

次の機会を待って、お互いまた善行(?)を積みましょう〜〜〜。
amica
2014/03/09 12:24

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